学生との取り組みをきっかけに、
ミストスクリーンは誕生しました。

ミストスクリーン

ミストスクリーンは、星光技研ならではの超音波霧化の技術で水を分解して超微細な霧(ミスト)を作り出し、そのミストを映写幕(スクリーン)のように利用し、映像を投影することができる機器です。投影した映像は空中に透けて見えるので、立体映像のような効果が得られます。また、とても細かい粒子の霧なので触れても濡れず、熱くもないのが特長です。

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それは学生のメールから始まりました

2012年の夏、とある一通のお問い合わせメールが星光技研に届きました。それは長野高専の学生たちからのメールでした。「秋の学校祭でミストをスクリーンにする演出を考えています。そのための機器を制作するために、星光技研からミスト発生部分の超音波ユニットを購入したい」とのことでした。とても面白いことを考えてるなと思いました。もっと詳しく話を聞いてみたいと思い、高専生とお会いしまして、実際に超音波霧化ユニットがどのようなものかを見てもらいました。そして、やりたいことが技術的に実現できるものなのかの打ち合わせをしました。

ミストをスクリーンにすることは技術的にはなんとかなるのですが、そこにはひとつ重大な問題がありました。それは、超音波霧化ユニットの購入資金がまったく足りなかったのです。それはそうですよね、彼らは予算がたくさんあるわけではなく、学校祭で一度だけ使うために購入するにはあまりにも高額なものでした。金銭的には完全に断念せざるを得ない状況でした。長野高専の学生たちもとても悔しそうでしたね。でも、「どうしてもやりたいんだ!」という熱意が感じられましたので、なんとかしてあげたいと思ったんです。それに、ミストをスクリーンとして利用するというクリエイティブなテーマを星光技研に持ってきてくれたのですから、なんとか実現に向けて最大限の協力をしたいと思いました。

そこで「弊社のデモ機なら無償でいいから使ってみてはどう?」という提案をしたところ、学生たちは大変喜んでくれました。そして、学園祭に向けて開発が無事スタートを切りました。長野高専の学生たちは頭がいいので、自発的にいろいろと案を出しては試作品として作り上げていきました。しかしながら、どうもうまくいきません。さまざまな改良を試したようですが、思い描いたようなミストのスクリーン形成は難航をきわめていました。このままでは学園祭に間に合わなくなりそうでしたので、私が何度か長野高専へ出向いて、霧の搬送についてアドバイスをすることにしました。

試行錯誤する学生たち
長野工業高等専門学校

技術とノウハウでアイデアをリアルに

超音波による霧化技術というものは奥が深く、霧自体を発生させることは超音波霧化ユニットというものがあれば簡単にできるのですが、その霧をどう制御するのかがミソとなります。ミストをスクリーンとして利用できるようにするためには、ミストの粒子をそろえてばらつきをなくしたり、ムラなく霧を搬送するために最適な風量・風速を選定したりと、制御に関する長年の経験とノウハウが不可欠です。

私たちからのアドバイスと長野高専の学生の熱意と努力によって、ミストスクリーンは無事完成となりました。ついに迎えた学園祭当日。学生たちが制作したミストスクリーンに映像を映して見てもらうだけでなく、人々がスクリーンを通り抜けるというミストならではのアトラクション要素も加えました。これまで体験したことのない映像体験に、ミストスクリーンの展示教室は大盛況となりました。高専生たちのミストスクリーン開発は、大成功といっていい結果で幕を閉じました。

私たちのアドバイスを基に、長野高専の学生たちによる試作品から大きく変更した点がいくつかあります。まずは、上から霧を吹き下ろすタイプから下から吹き上げるタイプに変更したことです。これにより機器の設置がとても簡単になり、また、機器から水滴がたれて床を濡らす問題も解決しました、もう一つは、霧と空気をハニカム構造の吹き出し口を通過させることにより、霧の揺らぎが小さくし、高画質化を実現したことです。また、霧に映像が鮮明に映るためには、薄く密度の高い霧を板状になるよう噴霧しなければいけません。そのための制御技術に関しては、全面的にサポートさせていただきました。
これらの知見を基に星光技研が開発を引き継ぎ、さらなる精度やユーザビリティを追究していく中で、ついにミストスクリーンが製品化いたしました。「こんなことはできますか」という学生からのふとしたお問い合わせがきっかけとなり、新たな商品が誕生することもあるのです。

最初に開発した上から吹き下ろすタイプ
吹き出し口の改良例