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平素は弊社製品をご使用いただきまして誠にありがとうございます。

経済産業省、製品評価技術基盤機構(NITE)、各報道機関より、続報が発表されました。
https://www.meti.go.jp/press/2020/05/20200529005/20200529005.html
(2020年6月5日発表)
前回の報道では、あたかも空間噴霧は健康被害があるため控えるようにといった注意喚起を内容になっておりますが、今回の発表では、空間噴霧は評価対象ではないため、ユーザー側に十分な検討して、判断をお願いしますといった表現に変わっております。

弊社では、今回の一連の報告に対し、三重大学 大学院生物資源学研究科 福﨑智司教授より所見を頂いております。

【以下 福﨑教授からの意見書を引用・抜粋となります】

空間噴霧に対する安全性(福﨑教授からの意見書より引用・抜粋)


 実用面での安全性に関する私(福﨑)の考え方の基本は、以下の 2点である:

・絶対に安全な殺菌剤はない
・安全なpHと濃度の調整、そして「ゼロリスク」に近づける安全な使い方がある

 経産省が「消毒液噴霧による人体への安全性については、確立された評価方法が存在していない」としているのは理解しており、それゆえ実験動物を対象に弱酸性次亜水を用いた実験を行い、その安全性を確認しているところである。

(略)

さらに労働基準衛生法及び日本残業衛生学会、American Conference of Governmental Industrial Hygienists (ACGIH)および欧州連合リスク評価書定めている塩素ガスの基準を参考するならば、空間噴霧をしたときの作業空間中のHOCl(g)の濃度が0.5ppm(v/v)未満(※)であれば、一定の安全性は守られていると判断できる。
さらに、居住空間におけるヒト無毒性量(NOAEL)を想定するならば、上記基準の1/10程度、すなわち0.05~0.1ppmの範囲とするのが妥当ではないかと考える。

(略)

3.弱酸性次亜水の空間噴霧による塩素濃度の測定例について

以下に、私の研究室で超音波噴霧器を稼働して室内空間の塩素ガス濃度(=HOCl(g))を測定したときの実験例を示す。


〔実験条件〕
・超音波霧化器:MX-200(㈱星光技研)
・充填水:(1)弱酸性次亜水(純水、次亜塩素酸ナトリウム、塩酸で調製)
       液性:pH 5.8, 有効塩素濃度:50 ppm
     (2) 水道水(三重大学生物資源学部棟7階)
       液性:pH 7.4, 有効塩素濃度:0.4 ppm

・設置条件:室内約80m³の中央テーブル・高さ70cmの位置に設置、閉扉、エアコンオフ、無人
・稼働条件:霧化量「中」の連続運転
・塩素ガス検知器:XPS-7(新コスモス電機㈱)*検出限界濃度:0.002ppm

〔塩素濃度(=HOCl(g))の測定結果〕
1. 弱酸性次亜水を噴霧したとき
・1時間後:床面・・・0.01 ppm (足下を想定)
     床から45cm ・・・0.007 ppm (膝の位置を想定)
     床から85cm ・・・0.005 ppm (腰の位置を想定)
     床から160cm ・・・0.002 ppm or < 0.002 ppm(女性の顔の位置を想定)
     床から180cm ・・・< 0.002 ppm (長身男性の顔の位置を想定)
・2時間後・・・1時間後と同一の数値(閉扉とはいえ隙間あり)

2. 水道水を噴霧したとき
・1時間後:噴霧口から50cm・・・0.002 ppm or < 0.002 ppm
      床面・・・< 0.002 ppm (足下を想定)
      床から45cm ・・・< 0.002 ppm (膝の位置を想定)
      床から85cm ・・・< 0.002 ppm (腰の位置を想定)
      床から160cm ・・・< 0.002 ppm(女性の顔の位置を想定)
      床から180cm・・・< 0.002 ppm (長身男性の顔の位置を想定)
・2時間後・・・1時間後と同一の数値(閉扉とはいえ隙間あり)


〔結果の解説〕
1. 弱酸性次亜水の噴霧
 次亜塩素酸水溶液の超音波霧化粒子は、あくまで形状の異なる水溶液であり、重力によって下方に沈降する。
その結果、霧化粒子から揮発した気体状HOCl(g)の濃度(一部は微細粒子内のHOCl)は床面に近いほど濃度が高く、天井に向かうほど低くなる傾向がある。
床から160cm以上では、0.002 ppmまたは検出限界以下(< 0.002 ppm)であった。HOCl(g)は気体なので拡散が早いと思われるが、連続的に噴霧される微細な水滴への吸着・吸収が起こるため、実際には上方への拡散が抑えられている。上方への拡散には、何らかの緩やかな空気撹拌が必要である。
 噴霧時間の延長で気体状HOCl(g)の濃度が増加しないのは、床面ほど有機物汚れが多く、微細粒子中および揮発したHOCl(g)が汚れとの反応で消費されていること、そして隙間からの空気の出入りに起因すると推測される(噴霧場所の汚染状況で変動)。
 そして、人が日常的に活動する空間を想定すると、起立姿勢および着座姿勢における「顔」の位置の濃度は0.002 ppmと極めて低い濃度であり、人体の呼吸器に影響を及ぼす濃度ではないと推定できる。人が存在する空間であれば、HOCl(g)の濃度はさらに低下することになる。

2. 水道水の噴霧
 2. 1 実験の背景
 家庭や職場では、室内の湿度を高めるために超音波加湿器を使用している。
また、熱中症対策として、屋外のイベントや順番待ちの列に並んだ方々に対して、二流体噴霧による微細粒子スプレーを行っているケースが散見される。これらの原料水には、通常水道水を使用している。水道水の場合、給水栓(蛇口)での有効塩素濃度が0.1 ppm以上と定められており、実際の自治体調査では0.5 ~1.0ppmの濃度が検出されている。これは、化学的に見れば「次亜塩素酸水溶液」であり、時間をかければ十分な殺菌効果をもつ。さらに、充填した水道水中の有効塩素濃度は経時的に消失するため、充填した水道水の中で微生物の増殖し、噴霧微細粒子中から微生物が検出された事例がある。そのため、充填水中での微生物の増殖を抑えるため、少量の次亜塩素酸ナトリウムが添加されている。
 ここで、上記の二流体噴霧スプレーは屋外とはいえ明らかに人体に対する噴霧の一つである。
経産省は「次亜塩素酸水溶液」である水道水を人体に噴霧することにおける毒性は問題にしていない。想像するに、全国の水道水の構成成分は一様でないが、飲用適の水は噴霧しても安心ということで、噴霧したときの塩素ガス濃度等は考慮する必要がないとの判断と思われる。そこで、実際に水道水を超音波霧化したときのHOCl(g)の濃度を確認した。

2. 2結果
 水道水の場合、噴霧口から50cmの位置で0.002 ppmのHOCl(g)が検出されたが、その他の位置ではすべて検出限界以下(< 0.002 ppm)であった。これらの数値は、弱酸性次亜水を噴霧したときの「顔」の位置での濃度と同一である。


 上記を踏まえ、弊社としては次亜塩素酸水を空間噴霧することの安全性については問題がないと考えております。
ただし、これはあくまでも適正に管理された次亜塩素酸水を、正しくご使用される場合のみに限ります。
お客様が弊社超音波噴霧器を安全に、かつ効果的にお使いいただけるよう、弊社としても新たな取り組みを考えおります。(これについてはあらためてお知らせしたいと思います。)


最後に...次亜塩素酸の空間噴霧とは


 ウィルス対策としては、まず換気を⾏うこと、ウィルスに効果がある液剤を⽤いての拭きとり、マスク着⽤、⼿洗いうがいなど、全て⾏うことが必須であると認識しております。どれか⼀つを⾏えば⼤丈夫というものでは無いということも承知しております。

 

 換気がウィルス対策において⼤きな効果がありますが、しかしながら、物理的に窓を開けられない空間(地下室や窓がない部屋)、防犯上や⾵⾬などにより窓が開けられない状態などにより、現実的には換気ができない状況も多々あります。

 そのような場合に補完的に噴霧器を活⽤していただき、次亜塩素酸⽔の空間噴霧はあくまでもウィルス対策の補助的なものと考えております。

 また、もしこの騒動で次亜塩素酸水の空間噴霧が禁止、もしくは世論の拒否反応で使用できなくなってしまった場合、長年、介護施設などで有効活用していただいていた現場での利用ができなくなってしまう可能性もあります。本当に必要とされている方が使えなくなってしまうことを危惧しております。

 従いまして弊社としましては正しい使用基準、厳格な品質管理を今後さらに高めていき、お客様には安全にご使用いただけるよう努めてまいります。