私たちの身の回りには、常に空気が流れています。
しかし、その空気の動き――すなわち気流は、通常は目に見えません。


空調が効いているかどうか
換気が十分に行われているか
汚染物質がどの方向へ流れているか


これらはすべて「空気の流れ」によって決まります。

そして近年、この見えない気流を“誰でも直感的に理解できる形”で可視化する手法として、
超音波ミストが大きな注目を集めています。


本記事では、

クリーンルームにおける気流確認・検証用途

という代表的な活用シーンを例として、
なぜ超音波ミストが「気流可視化」に最適なのかを、技術的・実務的・教育的な観点から詳しく解説します。


なぜ「超音波ミスト」は気流可視化に向いているのか?

超音波ミストとは、水に超音波振動を与えることで、数μm(マイクロメートル)レベルの非常に微細な粒子として霧化したものです。
この「粒子の細かさ」こそが、気流可視化において極めて重要な意味を持ちます。

気流可視化における超音波ミストの本質的な強み

  • 粒径が小さく、空気の動きに忠実に追従
  • 重力の影響を受けにくく、滞空時間が長い
  • 水のみを使用するため、化学物質・油分を含まない
  • 発生量・位置・方向を精密にコントロール可能

つまり超音波ミストは、「気流そのものを乱さずに、空気の動きをなぞる存在」なのです。
この特性により、研究・産業・教育など、「正確さ」と「安全性」が同時に求められる分野で採用が進んでいます。


クリーンルームにおける気流確認と超音波ミスト

クリーンルームでは「気流」が品質を左右する

クリーンルームは、半導体・電子部品・医薬品・精密機器など、極めて高い清浄度が求められる環境です。
そこで重要になるのが、以下のような要素です。

  • 給気から排気まで、空気が設計通りに流れているか
  • 層流が乱れて滞留域や逆流が発生していないか
  • 人や装置の動きによって想定外の乱流が生じていないか

これらは数値データだけでは把握しきれず、「実際に目で見て確認すること」が非常に重要になります。

一般的なスモークが使えない理由

気流可視化というと、まず思い浮かぶのがスモーク発生装置ですが、クリーンルームでは以下の理由から使用できないケースがほとんどです。

  • スモーク液に油分・グリコール成分を含む
  • 微量でも付着・残留のリスクがある
  • 清浄度規格や社内ルールに抵触する可能性

つまり、「気流は見たいが、環境を汚す手法は使えない」というジレンマが存在していました。


純水×超音波ミストがもたらす「ほぼゼロ汚染」

そこで注目されているのが、純水(超純水)を使用した超音波ミストによる気流可視化です。

純水を使用するメリット

  • 不純物・ミネラル分がほぼゼロ
  • 蒸発後に残留物が残らない
  • パーティクル汚染のリスクを極限まで低減
  • クリーンルーム環境との親和性が非常に高い

純水を用いた超音波ミストは、「可視化のために何かを加える」のではなく、「空気の動きを一時的に“なぞって消える”」イメージに近い技術です。
そのため、

  • 試運転時の気流確認
  • レイアウト変更後の検証
  • 作業者動線による影響確認

など、本番環境に限りなく近い状態での可視化が可能になります。


クリーンルームだけではない。
広がる超音波ミストの気流可視化用途

超音波ミストによる気流可視化は、クリーンルーム用途に限られた技術ではありません。
その「空気の動きに忠実に追従し、環境を汚さない」という特性から、研究・工場・教育・展示分野まで、活用シーンは年々広がっています。

例えば――

  • 工場や倉庫などの大空間における換気・空調の流れ確認
  • CFD(数値流体解析)結果と実環境の挙動比較
  • 実証実験や技術デモンストレーション
  • 竜巻実験装置や科学館展示における渦流・上昇気流の可視化

特に教育・展示用途では、これまで「発生しているのに見えない」ため伝わりにくかった気流や渦流を、誰でも直感的に理解できる形で“見せる”ことが可能になります。

超音波ミストは、単なる測定補助ツールではなく、
研究・検証から教育・体験までをつなぐ“共通の可視化インフラ” として活用され始めているのです。

展示・教育分野での具体的な活用事例はこちら
▶見えない空気が、学びに変わる|気流可視化展示の詳細を見る


まとめ「空気を見せる」ことで、理解と価値が生まれる



空気は、存在していても見えません。しかし、見えないからこそ、見えた瞬間に驚きと理解が生まれます。
超音波ミストは、

  • 気流を乱さず
  • 環境を汚さず(特に純水使用時)
  • 誰にでも分かる形で



空気の動きを可視化できる、非常に優れた技術です。

クリーンルームでの厳密な検証から、ワクワクしながら体験できる教育施設の展示まで。
超音波ミストは今、「空気を理解するための標準ツール」になりつつあります。



気流を“見える化”したいとお考えの皆さまへ

超音波ミストによる気流可視化は、用途や空間条件に応じて最適な構成が変わります。

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超音波ミストは非常に有効な手法ですが、用途によっては他の可視化方法が適しているケースもあります。
▶ 気流可視化の手法を比較し、最適なシステム設計の考え方を解説した記事はこちら